日本初「検索結果の削除」を認めた東京地裁と、認めなかった京都地裁の違いとは

東京地裁で、グーグルに「検索結果の削除」を命じる決定が出されたというニュースが話題になっています。これはおそらく日本初の判断だと思われます。

ヤフーとグーグルに対する同様の裁判があったのですが、京都地裁ではこれを認めないという判決が出ています。なぜ両者でこのような違いが出たのでしょうか。それには、考え方の大きなズレが原因としてありました。

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■東京地裁が認めた理論とは

意外に思われる人がほぼ全員だと思いますが、今回の東京地裁の決定が認めた理論は、実は従来の「削除が認められる論理そのもの」であり、新しいわけではありません。

削除の請求は、あるコンテンツの内容にプライバシー侵害等の人格権侵害があるということを理由に、そのコンテンツ(サイト)を運営する会社(コンテンツプロバイダ)などに削除を請求するものです。

グーグルなどの検索エンジンを提供している会社も、このコンテンツプロバイダに当たるという理由で削除が認められました。

したがって、従来理論とは実は全く変わらないのです(といっても、これが画期的であるということを否定するつもりは全くありません)。

 

■グーグルの主張と京都地裁の判決

グーグルはことあるごとに検索エンジンは「自動的かつ機械的に、サイトの記載内容や所在を示したに過ぎない」ということを主張しており、京都地裁の判決も削除を認めない理由として、これを理由の一つにしています。

しかし、本来「自動的かつ機械的」であるかどうかというのは、人格権侵害の有無とは全く関係がありません。人格権を侵害するコンテンツが存在していれば、人格権侵害があるといえ、その経緯や背景事情といったことは関係がないからです。

しかし、これまで「検索結果を提供している者」=コンテンツプロバイダという図式に気づくこととができていませんでした。このきっかけになったのは、EU最高裁で出された「忘れられる権利」についての判決です。

今回、東京地裁も「検索結果を提供している者」=コンテンツプロバイダという図式が成り立つということを認めてくれたということになります。
なお、京都地裁の判決においては、そもそも人格権侵害も認めていないようなので、仮にこの論理に従ったとしても、少なくとも現時点で削除することは難しいと思います。

 

■補足:「米国法人」を訴える必要がある

ところで、グーグルには日本法人もありますが、日本法人を訴えても、当事者足り得ないということで訴えが却下されることになるのが通常です。

グーグル日本法人は、あくまでプロモーション活動をしているだけで、コンテンツや検索エンジンの仕組みに関わることはできないというのが理由です(これが本当かどうかは分かりませんが、社内的な事情である以上、こちらでそれを崩すことができません)。

そのため、グーグル米国法人を訴えることが必須になります。

京都地裁の件はグーグル日本法人を訴えているようなので、その点でも大きな違いがあります。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*画像:Twin Design

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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