「弁護士はやっぱり利用規約をめっちゃ読むの?」に弁護士が答えます

私たち弁護士は、皆さんもご存じのとおり、仕事柄、契約書を作成することや、既に作成されている契約書や借用書などの内容を確認することがよくあります。

皆さんの中には、弁護士というのは、仕事柄、普段から利用規約や契約書を熟読するんじゃないか、などというイメージを持っている方もいるかもしれません。

他の弁護士については分かりません。

が、私は、ほとんど読みません。

確かに、今住んでいるマンションの賃貸契約書については、きっちり読みました。やはり、当面の自分の住まいのことですし、家賃も決してお安いわけじゃない。何か法的におかしなところはないか、チェックしました。

私の場合、出先でもある程度の仕事ができるように、スマホに仕事用のアプリを結構ダウンロードしているのですが、利用開始時の利用規約などをまともに読んだことは全くありません。画面が出てきたら、速攻「同意する」ボタンを押してしまう有様です。

試しに、当事務所の代表弁護士に聞いたところ、彼も利用規約や契約書は読まないと言っておりました。

他の弁護士が全てそうである、とはさすがに言えませんが、私や当事務所の代表のような人は、決して少数派ではないように思います。

そうすると、弁護士のくせに、脇が甘いじゃないか、自分の利益も守れないで弁護士の仕事なんか務まるのか、などとお叱りを受けてしまいそうです。

さすがに、「ボディがらあき」という状況ではありません。自分なりに気を付けていることはいくつかあります。

私が特に気をつけているのは、インターネットで物を買ったり、何らかのサービスを利用する場合です。

まず、利用するのは、きちんと名の通った大手サイトに限っています。

そして、入力する個人情報は、物を届けてもらうために、そして、代金を支払うために必要な情報に限っています。

メールマガジンや広告の受け取りも原則的に拒否します。

今の世の中、自分の情報がどこでどうやり取りされているのか、全く分かりません。

しかし、特にこういう仕事をしていると、プライベートでは、インターネット上の取引を利用しないと対応が難しいことが多々あります。

利用規約を読んで、この条項が気に入らないから、このサービスは利用しないなどと、1つ1つ考えていくのにも限界があります。

そこで、利用するのは仕方ないとして、その代り、自分の身を守るために、胡散臭げなサイトは利用しないようにしよう、開示する個人情報は限定しよう、としているわけです。

もちろん、私が元来面倒くさがりな性格であることに負うところも大きく、自分のできる範囲でできることをやっている結果、こういう身の守り方になっているというのが真相です。

仕事の場合は、当然のことながら、依頼者の権利利益を守らねばなりません。

ですから、契約書を作成するときには、個々の条項の表現について、かなり気を遣います。契約書のチェックの場合も、どんな条項が入っているのか、その結果どういう利益不利益が生じるのか、細かくチェックします。自分で言うのもなんですが、友人の弁護士と話をしていても、私は、かなり神経質で慎重な方のようです。

いくら弁護士でも、仕事とプライベートは、全く違うということです。
*著者:弁護士 寺林智栄(琥珀法律事務所。2007年弁護士登録。法テラスのスタッフ弁護士を経て、2013年4月より、琥珀法律事務所にて執務。)

寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

東京都中央区日本橋箱崎町32-3 秀和日本橋箱崎レジデンス709

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